Dotsサポーター特集、第2弾!弁理士五味 和泰さんにインタビュー。特許権を得意とする “ はつな知財事務所 ” で弁理士として活躍されつつ、商標登録のサポートサービス “ cotobox ” を立ち上げています。 “ 知財 ” の周知のため独自のアプローチを展開される五味さんにお話を伺いました。
特許権=世の中を良くするアイディア
今日はよろしくおねがいします!まずは、はつな知財事務所としてのお仕事について聞かせてください。
はつな知財事務所では、特に特許権を得意としています。 特許権の対象になるのは、“ 世の中を良くするアイディア ”。とりわけ、技術的な特徴のあるものを言います。ごくシンプルなアイディアから、ソフトウェアや医薬品など高度な知識を含むものまでいろいろです。特許取得の一連の手続き、取得後のライセンス契約のフォローが主な仕事です。
「特許をとって一攫千金!」みたいなイメージがあって……!実際、特許をとるというのはどういうことなのですか?
そういうイメージを持ってる方は多いと思います!笑 実際、「いいアイディアが浮かびました!特許権を取れば儲かりますか!?」と電話をいただくことも。もう少し具体的に、特許をとるとはどういうことか、説明しますね。
まず、特許権を取得した場合、一定期間アイディア(発明)の独占権が与えられます。特許権者の許可がない模倣品を排除することができます。そして、アイディアを製造者に所定の条件で使わせることもできます。ライセンス契約と呼ばれるものですね。工場を持たない個人の発明家でも、アイディアが素晴らしければ稼ぐことができるわけです。これが、「特許をとって一攫千金!」のイメージのもとですね。 ただし!それは取得した特許権が世の中のニーズとマッチした一握りのケースです。
……ですよね! 夢が膨らみすぎました。笑
なんでもかんでも特許を取ればいいというわけでもないんです。見落としがちなのが、特許権を取得する=「このアイディアは私の考えたものです」とアイディアの中身を公にする、ということ。特許権の対象そのものの模倣は排除されますが、参考にして新しい技術を開発することは自由です。面白いところで、特許というのは、社会全体の技術の進歩を煽るための仕組みでもあるんですよ。
独自の技術として守るためには、特許申請では概要を明らかにしつつもノウハウは明かさない、といった戦略が必要になります。たとえばソフトウェアの特許を取りたいなら、一部の計算式は明かさないとか。この見極めとアプローチが弁理士の腕の見せ所です。
日本のスタートアップにも “ 知財 ” の意識を広めたい
五味さんはどうして弁理士さんになったのですか?
大学は機械工学科の出身です。卒業後は建設業で設備設計の仕事をしていました。
理系の出身なんですか!就職後に転向されたんですね。
そうですね。知財に興味をもったきっかけは、小泉首相が掲げていた “ 知財立国 ” という政策でした。当時、自身のステップアップのために建設業の資格を取得することを考えていたのですが、これからは知的財産が武器になっていく時代だ!と、思い切って転向しました。
弁理士さんは法律の専門家というイメージがあって、文系の方かと思っていました。
弁理士には意外に理系出身が多いですよ! 特に特許を扱う人は、発明者と細かな内容の話をしていきますから、弁理士自身も基礎知識を持っている方が強いんです。さまざまな分野の依頼があるので、専門知識はその都度勉強しています。弁理士をしているとどんどんマニアックな物知りになっていきますよ。笑 全部含めて特許の専門家ですから、「専門的な話は分からないだろうな……」なんて敬遠せずになんでも相談してください!
事務所の所属を経て、独立・起業に至ったのはどうしてですか?
独立を決めたのは、直近の留学がきっかけです。 2014年からアメリカの大学院に留学して、知財の勉強をしました。大学院で参加したビジネスのスタートアッププログラムにはチャレンジ精神旺盛な人が本当に多く、刺激を受けました。スタートアップのタイミングでの、知財に関する指導も大変勉強になりました。立ち上げ時に、商標のチェック・ドメインの取得を必ずするようにと言われるんです。日本ではそういった意識があまりないなぁと。
そこで、スタートアップの段階でもっと“ 知財 ” の意識を広めたいと思い、従来よりも手軽・ローコストに商標を取得できる環境をつくるべく立ち上げたのがcotoboxです。現在も開発中のためノウハウは秘密!ですが、商標のチェックからオンライン上で自分自身での申し込みができるよう、外部のエンジニアさんと協力しながらサービスを整えています。
ビジネスのステップを考慮したアドバイスを
クライアントとの関わりで大切にしていることはありますか?
自分自身もスタートアップなので、特許にしても商標にしても、親身になって相談を受けることができると自負しています。立ち上げ当初の資金事情も重々わかっていますから…… 出願する・しない というところから相談にのれますよ。
特許権に関して言えば、開発に時間・人・コストをかけたものは取得した方が良いです。スタートアップで、サービス内容の特許を取得したいと相談を受けることがありますが、私としてはタイミングが早いと考えています。ローンチしたばかりでは、その後ビジネスの方向性が変わっていく可能性が十分にあるので。
ビジネスの段階に合ったアドバイスをいただけて、安心です!
五味さんは普段から他の会員さんとフランクにお話しされてるので、相談しやすさも抜群ですねっ!
そうですか!笑 確かに、他の方とよくお話しはしていますね。顔を合わせる方とはよく挨拶をして、時には仕事の相談もしています。実は今、Dotsでつながったエンジニアさんにお願いして、一緒にお仕事しています! 知財のことで気になることがあれば、ぜひ、気軽に声をかけてください!
五味さん、ありがとうございました!
次回は、事業立ち上げを強力サポートしてくれる心強い税理士事務所、アクシードの伊藤 雅広さんにインタビュー。実は、数々のDots会員さんがお世話になっています!近日公開です〜!
はつな知財事務所 ウェブサイト http://www.hatsuna.com
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